◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆          森林環境教育ネットワークメールマガジン                第 17 号              (平成20年10月2日) ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ( 目 次 )  1 森林環境教育雑感<5>  2 <情報> 「子ども農山漁村交流プロジェクト(ふるさと子ども夢学校)」の推進状況  3 <林野庁ホームページ紹介> 「森の子くらぶ受け入れ可能施設一覧」の更新  4 森林体験活動の安全について<4> 「教育からみた森林体験活動の安全管理の1/2」  5 <投稿> 「森林セラピー」について(新聞記事から)  6 <イベント情報>     ◆「森里川海 自然再生フォーラムin築地」(自然再生を推進する市民団体連絡会)     ◆「全国健康・体力つくり推進フォーラム2008」(体力つくり国民会議)  ☆ 事務局から 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  《メールマガジン・バックナンバー http://www.shinrinreku.jp/feenet/mlbk/index.php》  《イベント情報の登録・閲覧 http://www.shinrinreku.jp/feenet/einfo/》 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1 森林環境教育雑感<5> ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  このメルマガを受け取られている皆さんの中には,去る9月21日の夜9時からNHK総合 テレビで放映されたNHKスペシャル「映像詩 里山 森と人 響きあう命」をご覧になった方も 多いのではないでしょうか。  琵琶湖の北のクヌギ林は,何百年も前から炭や薪等として利用され,今もシイタケのホダ木 として20年程度の周期で皆伐されており,そして伐り株から生えた‘ひこばえ’(萌芽)を 育てることにより,クヌギの林に再生している。そうした歴史を積み重ね,芯が腐朽してウロ が形成され,大きくかつ異形の姿となった伐り株は,ヤマオヤジと呼ばれ,里山林の生物多様 性に一役買っているそうだ。  その中で,ナレーターは言う。「この森の再生には伐ることが必要なのだ」と。  ところで,最近,「森林は再生可能な資源」という話をよく聞く。石炭や石油は埋蔵量に限 度があり,いずれ枯渇する。また,石炭や石油を燃料として利用すれば地球温暖化の原因であ る二酸化炭素が発生する。だから,私たちがこの地上に暮らし続けるためには,再生可能で二 酸化炭素の排出増加に結び付かない資源の利用に転換していかなければならない。  樹木は,日光と水を使って二酸化炭素を木材の形に固定している。また,伐ってもクヌギな らひこばえが生えて元の大きさに育つだろうし,他の木だって種をまいたり苗を植えて,手入 れをすることで再び森林にすることが可能だろう。なるほど,森林は再生可能らしい。  でも,例えば今,あなたがクヌギ林を伐ったとして,跡地が伐る前のクヌギ林のように再生 するには20年という時が必要だから,再生した姿を見るのはずっと先になる。スギやヒノキ の林だと,植えてから伐る前の姿に再生するのに50年以上もの時が必要だから,あなたが伐 ったスギやヒノキの林が再生した姿を,あなたが見ることは難しいかも知れない。  50年も先のことは想像するのも難しい。だから,「森林は再生しているのだろうか?」と 疑う人もいるだろう。実際,地球全体では森林が減り続けている。  ・・・・・  森林は,『再生させることができる資源』なのだ。  森林の懐は深くて,人の色々な行いを受け止めてくれる。でも,再生可能な資源にするため には,森林のことを良く知って,森林のことをイメージして,ずっと付き合っていくために人 がしなければならないことを考えていくことが必要なのだ。  たくさんの人が森林のことを想うようになる。そうしてはじめて,森林は再生可能になる。 がんばれ森林環境教育。(林野庁計画課 高木鉄哉) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2 <情報> 「子ども農山漁村交流プロジェクト(ふるさと子ども夢学校)」の推進状況 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  本プロジェクトは,農林水産省,文部科学省,総務省が連携して,学ぶ意欲や自立心,思い やりの心,規範意識等を育み,力強い子どもの成長を支える教育活動として,小学校において 農山漁村での1週間程度の長期宿泊体験活動を推進する事業です。  また,本プロジェクトは,5年後の平成25年度に,全国の約23千の小学校が,毎年,1学年 (約120万人)規模で,農山漁村において1週間程度の宿泊体験を行うことを目標としています。  本プロジェクトの初年度として,およそ半年が経過した時点における推進状況を概観してみ ました。 ◆受入モデル地域の選定  受入モデル地域として53地域(32道県)が選定されています。内訳として,@先導的役割 を担う先導型受入モデル地域として14地域(10道県),A今後実施するなどの体制整備型受 入モデル地域として39地域(32道県)です。 ◇受入モデル地域一覧(pdfファイル)  http://www.ohrai.jp/kodomo/news/jdr0280000003bv2-att/jdr0280000003c11.pdf ◆農山漁村におけるふるさと生活体験推進校の申請・採択  平成20年度の農山漁村におけるふるさと生活体験推進校(長期宿泊体験活動を実施する小学 校等)として,全国の小学校等から申請があり,39都道県172校が採択されています。 ◆プロジェクトの普及促進・情報発信等  次のような取組が行われています  ・プロジェクトを円滑に推進するため「全国推進協議会」を設立(4月)  ・プロジェクトの発足を記念してシンポジウムを開催(5月)  ・受入地域の情報紹介や斡旋を行う全国的なコーディネート組織を設置  ・情報提供等の支援や教育交流の気運醸成を行うため地方セミナーを開催(5月兵庫県等)  ・学校関係者と受入地域関係者の交流等を目的に大都市圏フェアを開催(8月東京等)  ・マスメディアによる各種の情報発信等 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3 <林野庁ホームページ紹介> 「森の子くらぶ受け入れ可能施設一覧」の更新 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  林野庁のホームページの「こども森林館(森のひろば)」に掲載されている『森の子くらぶ 受け入れ可能施設一覧』が平成20年6月作成版に更新されました。森の子くらぶ活動推進プロジ ェクトの受け入れが可能な全国47都道府県の401施設が紹介されています。  URL:http://www.rinya.maff.go.jp/kids/park/shisetsu/index.htmlを開いてご覧下さい。 ◆森の子くらぶとは? ◇趣 旨  次代を担う子どもたちの森林環境教育を推進するとともに,平成14年度から完全学校週5日  制が実施された中で,学校外での森林体験活動等を通じて,子どもたちの「生きる力」をは  ぐくむため,子どもたちが森林に出会い,森林に興味を持ちながら森林での様々な体験活動  を行う機会を広く提供するプロジェクトを林野庁と文部科学省の連携により実施します。 ◇プロジェクトの内容  「森の子くらぶ」として広く参加者を募集し,地域の森林総合利用施設等を活用して,幅広  い関係者の連携・協力の下に,入門的な森林体験活動等を行う機会を提供するとともに,更  に段階的な指導を受けて行う森林での多様な体験活動を推進します。 ◇URL:http://www.rinya.maff.go.jp/kids/park/club.html ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 4 森林体験活動の安全について<4>「子どもの教育からみた森林体験活動の安全管理の1/2」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  林野庁監修の「森林体験活動指導者のための安全管理ハンドブック」((社)全国森林レクリ エーション協会発行)から,森林体験活動における安全管理のポイントを概観しています。  今回はその4回目,「教育からみた森林体験活動の安全管理の1/2」です。 ◆子どもたちの森林・林業体験学習(宿泊を伴う滞在型のもの)について  子どもたちにとって,日常の生活とは異なる地域での生活体験であり,いわゆる学校教育の イメージとは異なるものです。それは,森林・林業体験そのものはもとより,睡眠,食事や入 浴,あるいは排せつも含めて全てがプログラムであり,一つ一つが大きな教育的意味を持って います。 ◆子どもの森林・林業体験学習における安全管理のポイントについて ◇体験学習期間中に例えば微熱が出たような場合,子ども本人の言うことを鵜呑みにすること  はできません。睡眠時間の確保,食事や排せつの状況等,そうした滞在先の環境下でどうす  れば熱が下がるとか,よくなるという経験は子どもにはありません。子どもがどうすればよ  いと言っても,それを鵜呑みにすると大きな病気につながりかねません。 ◇森林内での体験学習では,子どもたちが日常使ったことのない道具や物を使います。それも  傾斜地で,大きくて重い道具,火や刃物等,普段は触ったことのないものを扱うことから危  険も多いのです。 ◇学年やクラスなどを単位に大勢が参加する場合は,活動に対して積極性がなく,指導者の話  に聞く耳をもたないような子どもおり,そういう中で刃物を扱って指を切ったりする事故が  多く発生します。森林・林業に興味や関心のない子どもを対象にして体験活動を行う場合も  同様です。 ◇子どもの力でもあやまって他人に大きなケガを負わせたりするような道具も使います。自分  自身がケガをしないことと合わせて,他の参加者や地域の人たちにも迷惑をかけないことを  教えることも必要です。 ◇子どもの目から見ても明らかに危険に見える場合は事故が少なく,何でもなく見えるときに  大きなケガをすることがあります。また,リーダーやスタッフが不慣れだと,危ないものを  持っているときには注意をしますが,そうでないときは気が緩みがちで,そこに事故の原因  が潜んでいます。(次号2/2に続きます。) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 5 <投稿> 「森林セラピー」について(新聞記事から) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  「森林セラピー」ということで,これまで「森林セラピー研究会」により森林と健康との関 係といったことについて調査研究が進められてきたこと,そして,そうしたことが少しずつ明 らかになり,生理実験や施設の状況等を基に森林セラピー基地とか,セラピーロードといった ものが認定されてきたことなどについて関心もあり,耳にはしていましたが,具体的なことは よくわかっていなかったというのが実情です。  そうした中で,先月上旬の読売新聞のコラムで「森林セラピー」が連載されていました。ご 覧になった方も多いとは思いますが,自分自身のための整理の意味も込めて,ポイント的なこ とをまとめてみました。  これで見ると,森林のセラピー効果は全ての森林,場合によっては公園の緑や木製品にもあ るようです。なお,これは,あくまでも新聞記事の切り抜き的なものであることをご理解下さ い。 ◆森林セラピー基地やセラピーロードはNPO法人が認定するもので,現在全国に35箇所ある。  この35箇所について,森林総合研究所が420人を対象に調査したところ,都市部にいる時  と比べ,唾液中のストレスホルモンと血圧,脈拍数はそれぞれ12%,1.4%,5.8%減少し,  リラックスした時に働く副交感神経の活動は55%高まった。 ◆日本医科大の李卿講師が会社員12人を対象に長野県の赤沢自然休養林で2泊3日の森林セラ  ピー体験について調査したところ,免疫力を示すNK(ナチュラルキラー)活性は体験前に  比べて56%向上し,1週間後,1カ月後もそれぞれ45%,23%も高い状況が持続した。 ◆森林の何が癒しの効果を引き出すか。注目されているのは樹木が放散する化学物質,フィト  ンチッドで,本来は樹木にとって有害な生物を遠ざけるための物質だが,人間をリラックス  させる効果があることがわかってきた。 ◆50〜100種類の化合物の集まりであるフィトンチッドは樹種によって成分や量が異なり,放  散が最も多いのはトドマツ。一般に,スギやヒノキなどの針葉樹の方が,ブナなどの広葉樹  より揮発成分が多く,香りが高い。 ◆街中の公園の緑の効果について,森林総合研究所の大平研究室長が大阪市内の長居公園で,  樹木が放散するフィトンチッドの濃度を測定したところ,予想以上に高く,森林セラピー基  地やセラピーロードと大差がなかった。(大平研究室長「樹木の多い場所を探せば,都会の  公園でもフィトンチッドの効果は十分得られる。」) ◆生活の中で使う木製品の効果について,九州大学の綿貫教授が熊本県小国町で特産の小国杉  の効果を調査。小国中学校の1年生3クラスで,それぞれ新品の杉材,新品の合板材,古い  合板材の机と椅子を4カ月間使用して免疫機能を比較したところ,新品の杉材の机と椅子を  使った1組では,3カ月後に免疫機能の指標となる唾液中の免疫グロブリンAの量が他の2  クラスに比べて約3割高まっていた。 ◆また,小国中学校では,実験中の2月にインフルエンザが流行したが,1組の欠席者は延べ  4人だけで,他のクラスの延べ30人,延べ61人に比べ群を抜いて少なかった。(綿貫教授「新  品の杉材を使った教室では,揮発成分の濃度が高かった。木製品とふれあうことで,免疫力  を高めることができるかもしれない。」)(TO) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 6 <イベント情報>   ◆「森里川海 自然再生フォーラムin築地」(自然再生を推進する市民団体連絡会)   ◆「全国健康・体力つくり推進フォーラム2008」(体力つくり国民会議) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 本ネットワークの「イベント情報」(http://www.shinrinreku.jp/feenet/einfo/)に登録いた だいたイベントや事務局に連絡いただいた情報等の中から紹介します。――― ◆森里川海 自然再生フォーラムin築地 〜築地魚河岸と語る 森・里・川・海の自然再生〜  今,日本の沿岸は急速に砂漠化しています。藻場が減少し稚魚が育たない海に変わりつつあ ります。本フォーラムの目的は,美味しくて質の良い魚介類は自然豊かな海で育つことを,築 地の仲卸から,全国で活動している漁業者や市民活動団体に知らせ,オール築地市場からエー ルを送ることです。何故,森・里・川・海かといえば,藻場の再生には,沿岸だけでなく,流 域の再生も重要だからです。(主催:自然再生を推進する市民団体連絡会) ◇開催日時 2008年10月25日(土) 13:00〜16:00 ◇開催場所 東京都 築地市場 東京都講堂(水産物部本館3階) ◇参加資格 なし(参加費:無料) ◇応募方法 ホームページをご覧下さい。 ◇問合せ先 東京都港区西新橋2-16-2-3階 里地ネットワーク内       TEL:03-5404-4846 FAX:03-5404-4847 E-mail:saisei@satochi.net       ホームページURL:http://satochi.net/saisei/ ◆全国健康・体力つくり推進フォーラム2008 〜延ばそう健康寿命!めざそう“生涯元気”!〜  (主唱:体力つくり国民会議/主催:文部科学省,財団法人 健康・体力づくり事業財団) ◇開催日時 2008年10月30日(木) 13:00〜16:50(12:00開場) ◇開催場所 東京国際フォーラム ホールB7(7階) 東京都千代田区丸の内3-5-1 ◇参加費等 無料(どなたでも参加できます。) ◇フォーラムプログラム等  ・基調講演 「立川らく朝のヘルシートーク」 立川らく朝(表参道 福澤クリニック院長)  ・パネルディスカッション   コーディネーター 宮嶋 泰子(ジャーナリスト)   生活習慣病 泉 嗣彦(ウォーキング医科学研究所所長)   健康産業 斎藤 敏一(スポーツ健康産業団体連合会会長,(株)ルネサンス代表取締役会長)   体力向上 大澤 征子((社)日本3B体操協会理事長)   食生活 松谷 満子((財)日本食生活協会会長)  ※ 自由にご覧いただける各種の展示コーナーもあります。 ◇問合せ先 財団法人 健康・体力づくり事業財団(事業部) TEL:03-3591-7257       ホームページURL:http://www.health-net.or.jp/zaidan/index.html ====================================== ☆ 事務局から ======================================  森林セラピーに関する投稿がありました。新聞記事からの紹介ですが,森林の効用の一つと して森林セラピーが大きくクローズアップされるものです。  森林セラピー基地やロードは,これまで(社)国土緑化推進機構を事務局とする「森林セラピ ー実行委員会」により認定されてきましたが,今後の認定活動は,新しく設立された「NPO法人 森林セラピーソサエティ」が,これまで「森林セラピー研究会」が進めてきた調査研究等と併 せて実施するそうです。  これまでに認定された森林セラピー基地やロードは全国でそれぞれ31箇所,4箇所となってい ますが,こうしたところに限らず,森林・緑の豊かな農山村で暮らす人々はその免疫力を示す NK(ナチュラルキラー)活性が高く,都会に暮らす人々に比べて心身ともに癒されていると 考えると,うなずけるものがあります。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 [編集発行]  〒112-0004 東京都文京区後楽1-7-12 林友ビル6F  社団法人 全国森林レクリエーション協会  森林環境教育ネットワーク事務局  TEL:03-5840-7471 FAX:03-5840-7472  E-mail:feenet_info@shinrinreku.jp  URL:http://www.shinrinreku.jp/feenet/index.html ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ====================================== ======= 伝えたい木の文化,残したい美しい森 ============ == 「美しい森林づくり」推進国民運動への参加・協力をお願いします。 === ===== ☆「美しい森林づくり」推進国民運動ホームページ☆ ======= ======= http://www.rinya.maff.go.jp/utsukushiimoridukuri.html === ===== ☆美しい森林づくり全国推進会議ホームページ☆ ========= ======= http://www.b-forest.org/ ================ ======================================